人事異動は社員の人生に大きな影響を与えます。
貴方の判断次第では社員のモチベーションを下げて最悪の場合は転職してしまう可能性があります。
本記事を読めば、やってはいけない人事異動の具体的な例が分かります。 胸を張れる人事異動の選択をしましょう。
- 本人の成長理由が無い異動
- 誰かの玉突き人事
- 人手不足を引き起す異動
本人の成長理由が無い
人事異動告げる際には必ず本人の成長を目的とした理由が必要です。
例えば、以下のような内容です。例文として参考にしていただければと思います。
- これまで○○の経験を積んできたと思うが、ステップアップのために□□の経験をして欲しいと考え、□□の部署に異動して貰いたい。
- 将来は管理職になって欲しいと考えている。しかし今の部署では部下となる社員がいないため、人数の多い○○部でリーダーとしての経験を積んで欲しい。
- 今後は会社として○○の事業を強化していきたい。そのため、△△の経験とスキルがある貴方に任せたいと考え異動をして欲しい。
既に過去経験している仕事、今と変わらない仕事への人事異動は本人のモチベーションを低下させますのでやってはいけません。
また、貴方が一方的に部下のキャリアを決めつけてはいけません。
必ず普段から部下の希望のキャリアをヒアリングして把握してください。
貴方自身の経歴に基づいた自分の考えを押し付けてることだけはやってはいけません。
誰かの玉突き人事
他の社員の玉突き人事である場合、絶対にその旨を本人に悟られてはいけません。
必ず当人の成長を目的とした人事異動が理由である旨を伝えて下さい。
「○○さんと入れ替わりで□□の部署に異動して欲しい」という言い方はNGです。
他部署で急な退職・休職者が出たことによる補充で異動させるケースが良くありますが、この場合でも「しょうがないので異動してくれ」というスタンスで伝えてしまってはダメです。
経緯としては玉突き人事であっても、貴方が普段から部下のキャリアを考えた上で部下のためを思った伝え方をすれば、それは玉突き人事ではなくなります。
人手不足を引き起す異動
異動をさせる当人のことだけの問題ではありません。
一人の社員の異動により残された他の社員に害を与えることは回避すべきです。
補充せずに人を抜く
誰かを引き抜いた場合、必ず補充が必要です。
異動させる社員の成長にとって良い異動であっても、残された他の社員がその社員の分の仕事を負担させるのはNGです。
もし補充のタイミングが遅れる場合は、「○月頃には補充がくるので、辛抱して欲しい」と残された他の社員に言える範囲で伝えるべきです。
残された社員が疲弊しモチベーションが下がってしまうと、最悪の場合退職者を出すことになります。
能力不足の人を受け入れる
人事異動は受け入れる側にも責任があります。
異動してくる社員の成長にとっては良い異動であったとしても、その社員の経験と能力が受け入れる部署にとって不足していては他の社員の業務負荷を増やし成長機会を逸することに繋がります。
必ず送り出す側と受け入れる側のWIN-WINになる形にする必要があります。
受け入れを打診させた社員に不足があるのであれば、丁寧に理由を説明して断ることも必要です。
望まない異動は避ける
ひと昔の日本企業であれば、「会社の人事異動は絶対であり、逆らうことなんてありえない」という時代でした。
しかし、転職が当たり前になった現在ではこの考えは全く通用しません。
転職を一度もしたことが無い40~50代の管理職は特に考えを改めるべきです。
社員が望まない異動をした場合は直ぐに辞められてしまう時代だと強く認識する必要があります。
辞めそうな社員の特徴 | 管理責任を問われる前に察知して適切に対処
部下の希望キャリアを把握
本人の希望を定期的にヒアリングし、どのような経験を積みたいか・将来の目標が何であるかを確認してください。
部下の希望をしっかりと頭に入れ、上司や他部門から人事異動の打診があった際にいち早くマッチングできるようにしておくべきです。
部下の家庭を考慮する
部下個人のキャリア志向だけではなく、家庭事情にも考慮が必要です。
共働きの家庭だと転勤を伴う異動はハードルが高くなります。
また、40代の社員であれば両親の介護をしながら働いている人もいるでしょう。
会社の命令に従わせる時代はとっくに終わっています。
やってはいけない人事で後悔
人事を決める立場の管理職と人事担当者が一番後悔することは何だかご存じでしょうか?
それは、自分が発令した人事異動により、社員が退職してしまうことです。
昭和・平成の時代であれば「会社の命令なのだからしょうがない」「辞める方が悪い」と考えられていました。
しかし、転職が当たり前になった令和の時代では、人材確保が会社の課題であり辞めさせた管理職は責任問題になります。
貴方の管理能力に対する上司の評価が下がることは当然のこと、他の部下からも疎まれることは避けられません。
後悔が無い人事異動をするためには、日頃からの部下とのコミュニケーションが不可欠です。