コンサルからメーカーに転職

コンサルからメーカーに転職した人の失敗談と成功談

コンサルからメーカーに転職

メーカーの方が仕事がラク。給与が下がってもワークライフバランスが取れる。コンサルタントで鍛えたスキルを活かせるはず。
このように考えてコンサルタントからメーカーに転職する人は珍しくありません。
しかし、人生そんなラクな訳がない。きっと何かしらメーカーならでの苦労があるはず。
これまでメーカーに転職したコンサルは成功出来ているのか? 色んな心配があると思います。

大手総合電機、大手完成車メーカーの営業として働いた実績のある筆者が、コンサルタントからの転職者である同僚達を客観的に分析した見解を紹介します。

是非、メーカー転職をするか否かの判断材料にしていただければ幸いです。

メーカー転職の失敗談

メーカーにキャリア採用で転職したものの、馴染めずに早期退職をしてしまったコンサル出身の同僚達の失敗事例を紹介します。
  • 28歳 男性
  • 既婚、子供1人
  • 前職:金融→ITコンサル
  • 転職理由 :① ワークライフバランスの確保、➁コンサル経験を活かし活躍したい
  • 在籍期間2年半

上司の好みに合わせられない

Kさんはアナログで対面営業を強みにしてきた課長と仕事で重視するポイントがずれていたため、課長から低い評価を得ていました。

具体的にはデータ整理・分析を強みにしていたコンサル出身のKさんは、課長が好む顧客に足を運んで顧客・市場全体の情報を得ることによる施策立案が出来ないことが原因です。

Kさんは、システムからデータ抽出ができる受注・生産・出荷のデータを整理して資料化する作業が得意としていたのでこの点は同僚から尊敬されていたのですが、課長からは業的な業務を疎かにしていると思われていたので、昇進機会を逃していました。

このコンサルからきた同僚のKさんは3年を待たずして辞めてしまいましたが、通常課長は3年単位で交代になるのでわざわざ自分から会社を辞める必要は無かったのではと思っています。

メーカーの仕事は顧客からの評価より、社内の上司と周囲の同僚からの評価が重要になってしまうのが実情です。

機嫌の悪い会社員

データ整理しか出来ない

Kさんは、ITコンサルで培ったExcelのマクロを組むことを始めとしたデータ整理の能力を発揮していました。

正直私を含めて部内のメンバーは彼の能力に感心していました。

しかし、エンジニアとの調整業務、マーケティング業務の能力はありませんでした。

メーカー営業に求められるのはプロフェッショナルよりジェネラリストです。

残念ながらJTCは減点主義なので、人よりできることよりできないことのほうが目立ちます。

新規施策の提案ができず、エンジニアとのコミュニケーションが不足していると周囲の評価は低くなります。

戦略コンサルではなくITコンサルから来た人は新規提案をする気概が比較的に少なく、データ整理などのテクニカルスキルだけに特化してしまっている印象があります。(あくまで一部の私の同僚がそうであっただけであり、違う人も勿論いますが)

不安な会社員

飲み会で喋らない

メーカー営業は社内の懇親会、顧客・関係者との接待が日常茶飯事です。
仕事を進めやすくするための関係構築、普段抱えている困りごと・不満・ニーズの聞き取りをするための場でもあります。
しかし、不必要に飲み会の頻度が多く、また二次会・三次会など長引くケースがあるのが実態です。
コンサルタントから来た同僚は比較的おとなしめのインテリキャラだったので、飲み会の場で口数が少なく上司・先輩からは好まれていませんでした。
特に法人営業の部署であると飲み会・接待文化が浸透しているので、飲み会が好きではない方は法人営業は避けた方が良いかもしれません。
一方、直接顧客とのやり取りが無い量産のBtoC商材を製造・販売しているメーカーと営業ではない企画職の場合は飲み会・接待は殆どありません。
BtoCとBtoBでは営業といっても働き方に違いがある点は意外と知らない人が多いです。
仕事の飲み会
次に、別のコンサルティング会社から転職してきたMさんの失敗事例を紹介します。
  • 33歳 男性
  • 既婚、子供2人
  • 前職:ITコンサル
  • 転職理由:英語を使うグローバルな仕事をしたい
  • 在籍期間2年

在宅勤務で働きたい

メーカーでも在宅勤務は可能です。しかし、週の大半はオフィスに出勤することを求められます。

メーカー業界では依然として対面で話すことを尊重する文化が消えていません。

在宅勤務を軽視する考えはIT・コンサル業界で働く人にとっては理解しがたいでしょう。

入社時に「在宅勤務可能」と言われていても、実際の職場の雰囲気が在宅勤務を許容しない可能性がある事に注意が必要です。

転勤が出来ない

メーカーは全国転勤が前提です。

転勤が出来ない旨を上司に伝えると出世コースからは外れると考えた方が良いです。

しかしメーカーでは管理職になると残業制限がなくなり責任と労働時間ばかりが増えるので割り切って出世を諦める人もいます。

長く勤めるつもりはなくステップアップの位置づけでメーカーに入社するのであれば問題なしです。

バリューチェーン理解が浅い

開発、製造、販売、受注、物流、納品、アフターサービスといった製造業のバリューチェーンを理解していないと仕事はできません。

そしてこのバリューチェーンを理解するためには現場に足を運んで自身の目で見ることが重要です。

この考え方をIT・コンサル系が持っていないことが多いです。

そのため、表面的な仕事の仕方しかできず成果が出せなくなります。

仕事に悩む会社員

コンサル経験の成功談

勿論、コンサルから来た同僚はコンサルの経験を活かしてメーカーである弊社で周囲から高い評価を得ている場面も沢山ありました。
彼の強みは以下の2点であったと考えています。
  • 苦境にめげないメンタル
  • 精神論ではなく数字で仕事を語れる

苦境にめげないメンタル

コンサルからメーカーへの異業種転職なので、当然暫くは不慣れで上手くいかないことがあります。

周囲のベテラン社員から叱責を受けることもあります。

しかし、コンサルから転職してきた人はものともせずに淡々と仕事をし、半年程度で一人立ちして即戦力として活躍していました。

精神論ではなく数字で仕事を語れる

メーカーでは「○○さんが発言したから」、と特定の年長者の意見だからという理由で周囲の関係者が流されて意思決定をすることが良くあります。

しかし、コンサルから来た同僚は常に選択肢を数値化して議論をすることが出来ていたので、私を含め多くのメンバーが勉強させて貰っていました。

同僚に相談

コンサルからメーカーに転職する方法

メーカー人事採用担当者がコンサル出身の転職志望者の面接をする際に重視する点は以下の2つです。

提案能力と具体的な実績

メーカーの営業には商社を経由するルート営業と直接顧客に提案をする直接営業の2種類の商流があります。

いずれの商流においても商材が如何に顧客に付加価値を提供できるのかを説明することが商談成立の鍵です。

メーカーでは商品力に頼って営業する人が少なくありません。

つまりメーカー営業の提案能力が乏しくても商品が良ければ勝手に売れるわけです。

しかし競合他社の商品に対して優位性が無い場合は営業の提案能力に頼ることになります。

メーカーの採用担当者が能動的に商品を提案できる人材の獲得を目指している場合、コンサル出身の応募者を採用します。

従い、貴方がメーカー営業の求人に応募する場合、コンサルティング会社で鍛えた顧客への提案能力を強調することが必須です。

泥臭い人間関係に対処できる

一方、メーカーの採用担当者がコンサル会社で勤める応募者に関して心配する点があります。

それは、メーカーならではの泥臭い人間関係に対処できるのかという点です。

メーカー営業の仕事では商社・顧客だけでなく、社内のエンジニア・生産管理部門との折衝が必要になります。

社内の人間より社内の身内の人間とのやり取りに苦労する人は珍しくありません。

人間関係の好き嫌いで仕事をする古い人間がまだ残っているためです。

このウェットで泥臭い人間関係に対処できることを伝えると内定の可能性が高くなります。

 



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