
- 1 どんな人が向いている?
- 2 BtoCとBtoBの2種類に大別
- 3 メーカー⇒商社/代理店⇒顧客
- 4 営業の役割と仕事内容
- 5 グローバルな舞台で仕事が可能
- 6 顧客が個人ではなく法人であるためクレーマーの遭遇が比較的少ない
- 7 商品のコンセプトづくり・開発に携わることができる
- 8 給与が安定している
- 9 自身がユーザーではないため製品知識の習得に苦労する
- 10 年上の技術者とのやり取りが中心
- 11 社内外の飲み会/接待が必ず仕事の一部になる
- 12 営業では如何ともしがたい設計・製造要因のトラブルがある
- 13 社内調整業務が多い
- 14 地方の僻地勤務があり得る
- 15 メーカー営業への就職/転職方法
- 16 メーカー営業のキャリアパス
- 17 ジョブローテーションが前提
- 18 職種間異動
- 19 勤務地異動
- 20 評価・昇進制度
- 21 転職市場価値
どんな人が向いている?
どの業種のメーカーにも共通して言えるのが多種多様な人を巻き込んで目標に向かって推進する能力のある人です。
以下の図にあるように、顧客毎に異なるニーズを収集し、事業拡大のための最適解に向けて社内の多くの関連部門と調整を行います。
人当たりの良さ・リーダシップ・論理的な説明能力などのスキルが備わっている人が向いていると言えるでしょう。
BtoCとBtoBの2種類に大別
BtoC (Business to Customer)
次に、メーカーの事業における商流の種類を説明します。
メーカー⇒商社/代理店⇒顧客
メーカー営業と顧客の間には、いわゆる商社営業が介在することになります。
商社とは?事業内容や種類、働くメリット|20代・第二新卒・既卒向け転職エージェントのマイナビジョブ20’s (mynavi-job20s.jp)
下記が具体例です。メーカーの業界によって商社の通称も異ります。
・家電メーカー ⇒ 家電量販点 ⇒ 顧客(一般消費者)
・半導体製造メーカー ⇒ 半導体専門商社 ⇒ 顧客(機械メーカー)
・変圧器メーカー ⇒ 電材店 ⇒ 顧客(発電所・ビル・工場)
上記の⇒に流れが出来上がっている場合はルート営業、新規で商社・顧客を開拓する場合は新規開拓営業となります。メーカ―営業が顧客に直販するケースもあります。
大半の企業は両方の手法を用いて事業拡大をしています。各企業のビジネスモデルにより異なりますので、求人情報を見てその企業の営業職がどちらに属するのかを正しく理解しましょう。
次に、メーカー営業の具体的な業務内容を説明します。
営業の役割と仕事内容
まず、メーカー事業の全体像を理解する必要があります。
企画⇒開発⇒営業⇒受注⇒生産⇒出荷⇒アフターサービス というのがメーカーの事業活動の全体像になります。
これらの内、営業職がどの部分の仕事を行うかは企業の大小や企業の構造によります。大きい企業であれば営業職の仕事が細分化される一方、小規模の会社では全てに携わる場合もあります。
しかし、大企業であっても、総合電機メーカーのように多くの事業を有している場合は、一つ一つの事業は中小企業規模になるため、営業が関わる領域が幅広くなります。
多くの方が営業職と聞いてイメージするのは顧客と対面でやり取りする営業活動・受注活動・アフターサービスの部分でしょう。
しかし、営業職には以下のように企画・開発・生産・出荷・アフターサービスといった領域に関わる業務が沢山あります。
≪メーカー営業職の具体的な部署名と担当業務の例≫
[海外営業部・〇〇地域課]:担当地域の売上管理、納期・輸出作業管理
[商品企画部・△△商品企画課]:開発者と共に商品企画(仕様/価格/商流/販売施策)
[営業部・□□販路課]:担当地域代理店の商流管理、拡販施策立案
[カスタマー部・サポート課]:既存顧客へのサポートを行い再販に繋げる
[営業部・××市場開発課]:新規顧客へアプローチし指名獲得を図る
応募を検討している企業の営業職が、どの部分の業務を行う部署であるのかをしっかりと確認し、入社後に「こんな仕事だとは思わなかった」ということが無いようにしましょう。
グローバルな舞台で仕事が可能
中国を始めとした新興国に家電・テレビ・自動車等の多数の製品で追いつかれてしまっている現状はありますが、日本の製造業はまだまだ世界で競争力がある製品がいくつもあります。日本の経済成長は鈍化する中、主要なターゲットは海外市場であるため、グローバルな仕事ができます。
尚、現地に拠点がある一定規模の会社であれば、現地の言葉と日本語の双方を話せる社員を現地で採用していますので、ご自身の外国語力に自信が無くても問題はありません。
顧客が個人ではなく法人であるためクレーマーの遭遇が比較的少ない

家電・自動車・家具といったBtoCの場合でも日々の顧客とのやり取りは量販店などの商社/代理店が行うため、メーカー営業はクレーマーなど異常な顧客に出くわすことが基本的にはありません。
また、法人営業の場合もこのリスクは基本的にはありません。なぜなら相手は個人ではなく、企業になるからです。もちろん気難しい人や変な言い掛かりをいう人はたまにいますが、常軌を逸しているというほどではありません。
商品のコンセプトづくり・開発に携わることができる
商社営業との一番の違いはこの点であると言えるでしょう。
まず、一般消費者向けのBtoC製品ですと調査会社のアンケート調査結果といったマスデータを用いたり、競合他社の製品情報をWEBサイトや実物から調査・分析するなどして、マーケティングを行い、企画・開発にフィードバックを行います。
また、法人向けの製品となると顧客ニーズは顧客の事業の機密情報であるケースが多く、第三者の調査会社などには後悔しないのでメーカ側の直接訪問による面談で独自に入手するケースが多いです。
勿論顧客の情報が顧客の競合会社に漏れると問題になるので、第三者への共有は絶対NGの条件のものとで情報を開示頂きます。特に、その顧客企業の独自要望によるカスタム開発を求められる案件の場合はこのケースになります。
筆者はこの業務が大好きでした。特に海外で新規開拓をする際に現地のローカルスタッフと共に顧客をいくつも巡回し、共通するニーズをまとめて製品開発側に提案するという企画段階に携われることは、メーカー営業の醍醐味だと思います。(顧客が面談のアポをすんなり受け入れてくれるかは会社のネームバリューによります)
給与が安定している
メーカーは比較的給与が高く安定している業界であり、多くの高収入企業もあります。
メーカーの平均年収は?主要な業界ごとの企業別年収ランキングまで公開 | 人材派遣・人材紹介のマンパワーグループ (manpowergroup.jp)
◆メーカー営業ならではの大変な点↓↓
自身がユーザーではないため製品知識の習得に苦労する
携帯・家電・自動車などのB to C商品は自身がユーザーになることができるため知識習得が容易です。一方、生産設備・電子部品・素材などのB to B商材は自身がユーザーではないため製品知識の習得比較的苦労します。
【アドバイス】
製品知識はお客様のニーズ・困りごと聞く過程で学びます。
社内の開発プロセス・製造工程だけではその製品を理解したことにはなりません。
その製品の何が顧客に好まれているのか、どこに改善の余地があるのかといったことを把握して初めてその製品を理解していることになります。
顧客との商談は基本的には商社・代理店が行っている会社であっても顧客と会話する機会は十分にあります。
年上の技術者とのやり取りが中心
メーカーにおける事務系職種の人は自分より10~20歳年上の技術者の人と仕事をすることが大半です。相手の方が社員としても社会人としても知識・経験が豊富であり、対等に議論できずに言いなりになってしまうケースが多々あります。
【アドバイス】
「市場・顧客ニーズを誰よりも知っているのは自分だ」ということを武器にすることです。これはB to C、B to Bに限らず共通です。一部の会社では営業が収益などの事業性を役責とする場合があるので、これも一つの挙げられますが、”営業”である以上はやはり顧客を社内のどの部門よりも知っていることが価値です。顧客ニーズは環境変化と競合動向により日々変化するものであり、最新の実態を一番に把握できるのは技術者ではなく営業です。
社内外の飲み会/接待が必ず仕事の一部になる
多かれ少なかれ、どの業種・会社でも飲み会はありますが、法人営業は日本の接待文化により比較的頻度が多いです。幹事・茶坊主の仕事にウンザリする若手社員は年々増加しています。
【アドバイス】
汎用的なビジネススキルを養えると前向きに考えると良いです。飲み会の幹事や顧客の接待をこなす能力は日本の企業ではどこでも流用できる汎用的なスキルといえます。
従い、転職した際にも役立ちます。(もちろんスキルとは言えど採用面接ではPRできませんが)また、海外の方とビジネスする際にも日本のおもてなし接待術は役立ちます。
営業では如何ともしがたい設計・製造要因のトラブルがある
「設計不備による不具合で納品した製品が客先でトラブルを起こした」「半導体部品が不足し顧客に約束した納期・数量が守れなくなった」といった営業では防ぐのが困難なトラブルが付きまといます。顧客の窓口である営業が謝罪に行くことになります。
【アドバイス】
こういったトラブル時に営業として最善を尽くし、顧客の被害を最小限にすることができると、顧客の信頼を得られるというチャンスの側面もあります。自分でコントロールできない領域を嘆くのではなく、次につながるようにポジティブな視点を持つようにしましょう。
社内調整業務が多い
・顧客からの技術的な問い合わせ対応に関する技術者との調整
・製品納期に関する先方と工場との調整
・見積書作成における社内調整
・度重なる社内会議のアレンジ
等々、顧客と会社の間の懸け橋となる立場として様々な調整があります。社内関係部門が顧客の要望に対応する余力や実力がなく、板挟みになってしまうことが多々あり、これにウンザリして転職をする若手社員は多いです。
【アドバイス】
社内調整で上手くいかないことが続くと「つまらない、意義が無い」とモチベーションを下げてしまう人が大半ですが、逆にうまく社内調整ができるようになればそれはあなたの立派なビジネススキルであるとポジティブな見方をしましょう。
この社内調整は個人技で働く業界以外は殆どの企業で多かれ少なかれ求められる能力であり、もし転職をすることがあれば転職先でも役立ちます。また、社内調整が求められるということは、貴方が社内でリーダシップを取れる立場にあるということです。
社内の関係区を動かして顧客の要望に総合的に対応しているのは自身であるというプライドを持って、堂々としましょう。「この業務は顧客ニーズに対応するため(=会社の事業を成長させるため)に必要なんです!」という姿勢で取り組み、意義を伝えられれば社内関係者も貴方のリーダシップについて来てくれるはずです。
地方の僻地勤務があり得る
メーカーの開発拠点・生産工場は地方にあるため、営業職も地方の僻地に勤務になることがあります。
最初の勤務地が都市部だとしても、メーカーは全国転勤が前提ですので地方勤務に異動になる可能性があります。
メーカー営業への就職/転職方法
経済産業省の調べによると “製造企業における企業数は、全国で66万3千企業となった。これを規模別にみると、中小企業が66万企業、大企業が4千企業” と、日本には非常に多くのメーカーがあることが分かり、メーカー営業職につくチャンスが十分にあると言えます。
メーカーで営業職に就く上では特に技術的な知識を求められる訳ではありません。それ以上に、人当たりの良さ・リーダシップ・論理的な説明能力などのスキルの方が圧倒的に重視されます。
企業の採用担当者が一番避けたいのは採用した社員が入社前後でギャップを感じて直ぐに辞めてしまうことです。
そのため、本記事で紹介したようなメーカー営業ならではの大変な点を理解した上で応募していることをそれとなくPRすることができると、非常に効果的です。
具体的なメーカー営業の志望動機と自己PRで差別化する方法の詳細は以下記事に記載していますので、参考にしてください。↓↓↓
メーカー営業のキャリアパス


昇進・昇給は年功序列が基本です。ジョブローテーションが前提となり、複数の担当製品・担当業務・勤務地を社員に経験させてステップアップを図る企業が大半です。
国内外・日本全国への転勤の可能性がありますので、その点は留意して入社しましょう。
離職率は比較的低いですが、近年は他業種・他分野のメーカーに転職をする方が年々増加しています。事業分野が異なっていても営業としての働き方は似ているケースが多いので、メーカー間の転職のハードルはそれほど高くはありません。筆者も、新卒で入社したBtoBのメーカーから、全く違う事業を行っているBtoCのメーカーに転職しています。
ジョブローテーションが前提
日本の終身雇用は崩壊したとは言え、長期的に働いてもらう前提であることには依然変わりありません。従い、会社は社員に色んな経験をさせて将来事業を牽引する人材になって欲しいと考えています。そのため、入社時の仕事をし続けるのではなく、一般的には3~6年程でジョブローテーションをすることが多いです。
職種間異動
ジョブローテーションの形には色々ありますが、その一つが職種間異動です。例えば、「顧客向け営業→商品企画」「ルート営業→新規開拓営業」といった形です。社員規模が比較的小さい企業では稀に「営業→経理→再び営業」「営業→人事→再び営業」などの営業部門以外の職種に一時異動をさせる企業もあります。入社を検討している企業にどのような職種があるのかをリサーチしておきましょう。
勤務地異動
メーカーは全国・海外に拠点を有していることが多く、勤務地変更を伴う異動があります。「地方→都市部」「都市部→地方」「国内→海外」という移動を繰り返します。これは、その地域にしか部署が無い職種がある場合や、顧客特性が地域によって異なることが背景にあります。いずれにせよ、色んな経験をさせてステップアップして貰いたいという会社の意図があります。
評価・昇進制度
良くも悪くも年功序列です。パフォーマンスが良ければ社内で個人的には評価・尊敬されますが、日系メーカーでは20代の内はそれで給与が上がったり、昇進が早まることへの影響は微々たるものです。実感できるほどに影響が出てくるのは30代以降です。この点はIT・金融・コンサルなどの成果主義の業種との大きな差異です。
転職市場価値

如何でしたでしょうか。是非長期的なキャリアを踏まえて自分の最適な企業探しに取り組んで頂ければと思います。読者様の成功をお祈りしております。