商社マンが転職する理由
メーカー営業に転職してくる商社マンの転職理由は主に以下です。
商社の存在意義の低下
商社は顧客の近くに立地し日々フットワーク軽く訪問できることが存在意義の一つでした。
しかし、WEBマーケティングの時代になり店頭・対面での購買機会は減少しています。
また、メーカー側にも営業がいるので、商社の営業の役割とある程度重複しています。
商品企画、価格設定、販路戦略、広告戦略はメーカーの営業側がに主導権があり、もどかしさを感じる商社マンが多いです。
キャリアの幅広げ
この記事を読んでくださっている貴方は次の冒険にチャレンジしたいと考えていると思います。
商社マンは向上心・好奇心が高い方ばかりなので、他の職種・業界にチャレンジする方が多いです。
次の仕事を選ぶうえで、「これまでの経験・スキルを活用できる」「一方で、新しいことを学べる」という2点を重視していると思います。
この2点を網羅していることがメーカー営業が人気職種である背景と言えるでしょう。
商社が激務で鬱になる
商社は社員のマンパワーに頼って業績を上げる傾向があり、社内外の人間関係もウェットであるため、筆者の友人でも激務で鬱になる人がいます。
特に結婚・出産を機にワークライフバランスを充実させたいと思うようになり、転職をするケースが多いです。
身体が壊れたら諦めて転職をするのではなく、壊れる前に転職をするという考えが大事です。
商社マンが活躍する理由
ここからは、商社マンがメーカー営業に転職した際に活躍できる理由を具体的に紹介します。
メーカー&顧客との調整経験
メーカーにおける営業職はメーカー社内の各関連部門と商社・顧客との間で様々な調整業務を行います。
貴方は現職でメーカー側と顧客との間で様々な調整業務に取り組んできたはずです。
この経験はメーカー営業の仕事においても多いに役に立ちます。
価格交渉、見積提示、納期調整などはメーカー営業においても同様の仕事があります。
また、関係部門を顧客だと思って仕事をすれば、対人関係スキルは大いに武器になります。
関係部門をリーディングする力
メーカー営業は事業の牽引役として多くの関係部門を巻き込み仕事をする必要があります。
社内の関連部門を牽引する上で重要なことは二つあります。
一つは市場と顧客のニーズを把握していることです。
メーカー社内の各関連部門は自部門の領域には特化していますが、市場と顧客の全体像が分かりません。
特に大きいメーカーであればあるほど、縦割り文化となり同じ社内であっても他部門の活動を把握していないことが多々あります。
例えば開発者が顧客の本音を把握するためには営業職となる貴方から情報を得る必要があります。
商社マンとして市場と顧客に寄り添ってきた貴方の経験とスキルは武器になります。
これは、未経験業界への転職でも大丈夫です。
ここで重要なことは業界の知識ではなく、市場ニーズを収集し社内にフィードバックするノウハウです。
【将来有望】FA業界(Factory Automation) への未経験転職 | TERAO|メーカー営業への転職 (terao-business-blog.com)
収益管理の実務経験
- 見積作成
- 売上目標
- コスト管理
メーカー営業では販売だけではなく事業収益の管理が必要です。
筆者はメーカー営業として10年以上働く上で、常に会社経営の視点で事業収益を考えてきました。
その姿勢は仕事の成果にも表れ、他の社員よりも高い評価を得ています。
それは、メーカー営業に新卒で入社した社員の多くは目先の業務をこなすことに追われ、経営視点でお金を見る習慣が無い人が多いからです。
商社の営業は日常業務でお金に触れているため、自分のどの担当顧客・商品でいくら儲けることが出来ているのかを理解しています。
そのため、メーカーへ転職した際には他の営業に比べて一目置かれる存在になります。
海外営業としてのスキル
英語を使って仕事をしてきた経験は当然のことながら、ビジネス慣習の異なる外国現地法人と仕事をした経験は全て役に立ちます。
メーカーの海外営業は商社と同様に日々海外現地法人とメール・電話・WEB会議で仕事をします。
現地の市場・社員のキャラクターを理解しながら顧客のニーズを正しく社内の関連部門にフィードバックできるスキルはそのまま全て重宝されるでしょう。
商社マンが留意すべき点
もちろん、メーカー営業に転職して良いことばかりではありません。
商社マンがメーカーに転職を決める前に留意しておくべき事項を紹介します。
エンジニアとの調整業務
メーカーの営業になると、社外からの技術問い合わせを受けて社内のエンジニアに技術見解と確認する作業が日常的にあります。
大抵の場合は右から左に流しても上手くいくことはなく、以下のような問題が生じます。
- 問い合わせ元の意図が不明瞭
- 回答期限が短すぎる
- 適切な回答ができる部門が不明瞭
- エンジニアの回答が曖昧
生産管理との調整業務
商社の業務での納期調整はあったと思います。
メーカーの営業になると、生産管理の現場の社員と直接調整をすることになります。
- 短納期でのオーダー
- ラインアウトによる生産遅延
- 部品欠品による長納期化
古い社員の定年退職に伴い年々減りつつありますが、気難しい理不尽な社員は大企業のメーカーであっても多少存在します。
しかし、商社で培ったコミュニケーション能力・対人スキルがあれば上手く調整することが出来るはずです。
【調整業務歴10年の社員が語る】仕事の板挟みによるストレスに疲れた人に伝えたい3つのこと | TERAO|メーカー営業への転職 (terao-business-blog.com)
人間関係がウエット
メーカーは営業内でも多数の部署に分かれており、全ての業務が個人プレーではなくチームプレーになります。
そのため、どうしてもウェットな人間関係が必須になります。
昼食も課内で一緒に食べることが基本で、社内の飲み会も頻繁にあります。
対面で仕事をすることを尊重するため、在宅勤務より出社して会議に出る社員が好かれます。
商社マンの読者の方は心配ないと思いますが、人付き合いが好きではない方には正直向きません。
転職を不安に思う原因
さて、これまで商社マンがメーカー営業で活躍できる理由と入社を決める前に注意すべき点を述べてきました。
最後に転職を躊躇う商社マンが誤解している点について紹介をしようと思います。
業界知識は無くても大丈夫?
最も多い誤解はメーカーに勤める以上は商品を深く理解している必要があるという思い込みです。
メーカー営業に転職してくる方の殆どは業界知識・商品知識がない状態で入社します。
仕事をすれば3-6ヶ月程度で自然に知識を習得できるので、入社時には問われません。
重要なのは、興味・関心がある事です。
【諦めない】未経験者がメーカーの商品企画職に転職して活躍する方法 | TERAO|メーカー営業への転職 (terao-business-blog.com)
30代でも転職可能?
筆者の10数年の経験上、メーカー営業への転職者の年齢の幅は年々広がっています。
2013-2019年の時に筆者の営業部に入社した方々は26-30歳が中心でした。
一方、2020-2023年の間では、45人の営業部の中で、26歳が1人、32歳が筆者を含めて4人、38歳が1人が転職で経験者採用として入社しています。
つまり、30代の転職が一般的になっていると強く実感しています。
女性でも入社できる?
日本の大手メーカーでは女性の管理職比率の公表を義務付けられるようになったこともあり、女性社員の採用に力を入れています。
筆者が新入社員の時に営業として入社した時は4割が女性でした。(エンジニアは除く営業内での比率です)
育休・産休の取得、配偶者の異動を考慮した勤務地配置など、女性が働きやすい環境整備が多くの企業で進んでいる事も背景にあります。
メーカーへの転職方法
商社で営業マンとして働いていた人がメーカー営業に転職するには職務経歴書と面接で以下の内容をPRすることが重要です。
開発プロセスへの理解と関心
商社営業とメーカー営業の大きな違いの一つに開発プロセスに携わるか否かという点があります。
開発プロセスとはターゲット市場・顧客の設定、競合のベンチマークに始まり、販売価格・事業収益・仕様を決め、量産に至るまでのプロセスを指します。
メーカー営業の醍醐味と言っても良い業務です。
この商品企画のプロセスに興味関心があることが非常に重要です。
商社営業の人は市場側の対応経験とスキルは豊富なので、そのことばかりに言及しがちですが、メーカーである以上はモノづくりの業務ができる必要があります。
製造プロセスへの理解と関心
開発プロセスと同様に重要な業務が製造プロセスの理解です。
具体的には部品発注・組み立て・梱包・出荷・納品までのプロセスです。
しかし商社マンの貴方であれば全く知識がないわけではないはずです。
もし商社の業務をしている中でメーカー若しくは顧客の工場に足を運んだことがあるのであれば、その時の経験を志望動機・自己PRに盛り込むと良いでしょう。
顧客とメーカーの調整業務経験
メーカーの人事採用担当者が商社マンを採用したいと思う一番の理由は顧客とメーカーとの間に立って調整をしてきた経験と能力です。
この業務はメーカー営業としても必要であり、貴方の経験は即戦力になると期待されています。
そのため、顧客とメーカーとの間で納期・価格・仕様に関する調整業務を行い成果を上げた実績を数値を用いて必ずPRしてください。